建築の多様化への考察 -独り空間-   M2 鈴木直

建築設計において、公共の場で「コミュニティ空間」を想定しながら空間をつくっていく方法は、近年、一般的になりつつある。しかしながら、「個」を想定しながら空間をつくっていく方法は公共の場ではあまり見られることはない。コミュニティがすべてであるかのように社会が動いていくことに疑問を感じる。「個」を想定しながら空間をつくっていくことはできないだろうか。本制作は、「独り空間」を通して建築の多様化を目指す試みである。

庁舎建築における複合化 〜パブリックスペースの可変性〜  M2 白石拓郎

 

庁舎建築は公共建築の中で最も多く建設されている建築であり、パブリックスペースを考える上で重要なテーマである。しかし、庁舎建築におけるパブリックスペースはそのパブリックスペースとしての機能を十分に果たしていない。また庁舎建築は地域機能の中心に位置していることが多い。良い立地条件でありながら市民にとっては手続きのためだけに使われている。庁舎建築の持つポテンシャルを活かせていない現状が私にはとてももったいなく思え、違和感を覚えていた。
パブリックスペースがその場の状況に応じて空間を変えられるようにあることを以降「パブリックスペースの可変性」と言及するが、これは多くのパブリックスペースが本来持っているものでもある。しかし庁舎建築のパブリックスペースにはそれが備わりづらい状況にある。パブリックスペースが執務機能の一部のようにみなされ、パブリックスペースとしての意味を持たないものになっている。この現状においてパブリックスペースの可変性を得るには、執務機能とパブリックスペースの関係について考え直すことが必要である。そして本研究ではそれを設計によってではなく、機能の構成論やそこから見える可能性について考察することによって行なった。本研究の本質はその体系の構築にある。
庁舎建築のパブリックスペースが市民にとってどのような空間及び空間構成であるべきなのか、庁舎にこそ持つことのできるパブリックスペースとはなんなのか、「庁舎建築の複合化」という新しい分析視点を導入することで明らかにすることを目指した。

Gothic  B4 上田蘭世

本計画は当時のゴシックの曖昧なイメージを現代におけるゴシックの認識へと収束させることを目的とした衣装制作である。ゴシックの重厚感とステンドグラスの繊細さを表現しつつ、中世西欧ファッションのはっきりとした色使い、身体ライン、奇抜、過剰な装飾を採用。かつての西欧ファッションを現代の認識とともに表現した。

Spread Area ~student apartment complex~  B4 大瀧悠人

武蔵美で4年間過ごし、他学科との交流はとても刺激的であった。しかし、アートやデザインを学ぶ学生以外との交流はなかなかなく、実際では、美術や建築は経済や教育などのさまざまな分野と関わっている。そこで、美大生と他分野の学生がともに暮らす集合住宅を設計する。

廊下から見下ろす。  B4 片桐仁珠

 
バラックから変化を経て今も尚、人のよりどころとなる「ハモニカ横丁」に昔から興味を持っていた。横丁で起こる人々のアクティビティーを探究し、現在のハモニカ横丁の良さを残しながら「見下ろす。」という新しい景色を作り上げる。

新木場、水辺文化空間  B4 鹿又奈央

江東区新木場地区における文化・娯楽施設。東京湾臨海部の水辺立地にて求められる場を考える。建築の親水性を高め、水域に関わる空間の快適性を主に設計を進めた。劇場や展示、飲食施設、広場など、年代問わない人々の賑わいを考えたプログラムである。

知の宮殿へ蘇る紡績工場  B4 韓 若氷

廃墟である第三紡績工場の空間を最大限に活かし、新しいライフスタイルを提案しました。紡績工場の採光と図書館の機能を合わせて、中で歩きながら表紙で本を探す図書館を提案しました。これから既存建築を取り壊さず、活かせるようにと考えたプロジェクトです。

神戸空港島サステイナブル牧場   B4 菅野晃央

神戸空港島に持続可能な都市型酪農施設をつくり、神戸空港空港の独自性、観光客の誘致、防災等を包括的にできる施設を提案した。地熱利用、バイオガス発電、屋上緑化、二重膜構造、ルーバー窓等を積極的に設計に加え、家畜の存在するサステイナブル建築施設についてとりくんだ。

居場所のダム   B4 友田篤大

横浜・弘明寺における『桜祭り』を盛り上げるための仮設建築。祭りの規模に対する土地の狭さからの制約を取り払い、新たな居場所を作ることを目的とした。A~Zの26文字をモチーフに遊び心を持たせ、仮設のイメージにとらわれないことを目指した。

光の決める建築   B4 知久倫大

文学には起承転結がある。順路のある建築にも空間のつながりによるストーリーが存在すると感じる。空間のストーリーが文学的なストーリーを紡ぐ。一冊の本に関する展示とともにストーリーを空間と共有するような体感的な文学館を目指した。
 

厳島港再考計画   B4 町田舟蔵

進行中の再開発計画・地方住民への利益還元・人、自動車の動線とのバランスを主軸に世界遺産『厳島神社』を有する宮島に向かうための玄関口として相応しい姿とは何かを考えた。

薬草園と病院の複合施設 B4 松本愛理

千葉県大多喜町に現存する薬草園跡地の活用計画として、薬草園と病院の複合施設を提案。薬草園に産婦人科や温室、託児所のある、出産前後の女性を総合的にサポートする医療施設である。妊婦の定期的・長期的通院に対して この四季折々に変化する病院の存在は、出産が楽しみになるような特別な場となる。

自宅の10年後を考える   B4 松本 昌

卒業研究では半自立型高齢者の一戸建住宅の用例をいくつか事例を調査し挙げ研究した。それを踏まえ、私は「自宅の10年後を考える」というテーマで、現在両親と自分が住む、松本家に「リノベーション・コンバージョン」を提案し、両親が高齢になった時のことを考えた自宅を設計し、この二案ができた。

杖立温泉街と暮らし   B4 山口珠侑

熊本県には、杖立温泉と呼ばれる小さな温泉街が存在する。そこでは、今では見られないような幻想的な街並みが広がっている。かつて栄えた温泉街は、時代の流れとともに衰退しつつある。そこで、観光客と地域住民が背戸屋の中で出会うことにより、かつてのような、生活の彩が滲み出し、観光客の訪れる、温泉街の花を取り戻せるような、杖立温泉街の中心となる場を提案した。